青い春
監督 豊田利晃
公開 2002年
ピンポンを観た後になんとなくパッケージに惹かれて借りてきたのだが、偶然にも原作は両方とも松本大洋の作品でした。
鑑賞後に調べてビックリしました。
そんなわけで松本大洋原作の映画を2連続で観ることになったのですが、こちらもメチャクチャ面白い!
映画の時間としては80分程なのでかなり短めですが、内容はギッチリとつまっているので物足りなさは感じませんでした。
そのほかにも高岡蒼佑や大柴裕介をはじめ、瑛太や又吉も出演しています。
ちなみに瑛太はEITA名義です。そしてこれが銀幕デビューとのこと。
そんな豪華な俳優陣が演じるのは俗にいう不良です。
不良やヤンキーが出てくる映画は、それらを美化するものとそうでないものがありますが、この映画では美化されることはありません。
この映画に出てくる人物に感情移入することができるのは、むしろそういった存在から遠い場所いた人たちだと思います。
将来に漠然とした不安を抱きながらも、それを表に出すことなく、淡々と人生を歩んできた人間こそがこの映画を楽しめます。
何故、不良たちが主要な登場人物にもかかわらずこのような映画になったかといえば、松本大洋が不良ではないから。
あくまでも彼の中の心象風景を作品にした時に、それがたまたま不良たちの群像劇になったということなのだと思います。
しかし某映画レビューサイトでは、
「品川が監督だったらみんなもっと叩くんだろ」
とか
「この映画に触発されてバカなことをするグズがでてきたらどうするんだ」
などと書いている人たちがいるのですが、お前らは何もわかっていない!
品川にこの映画が撮れるわけがないだろ。不良が主人公というだけで全くその本質は違うのですよ。
この映画に触発される人間はいないだろ。もし本当にこの映画を見て、人を殺したり、学校の屋上から落ちるような人間がいるのなら、もともとそいつらはろくな奴らじゃないだろ。
私が思ったのは、この映画、太陽を盗んだ男に似ているな、ということ。
何かをしたいのだけれど、何をすればいいのかわからない。
歩き出さなければならないのに、どこに向かって歩けば良いのかわからない。
そんな漠然とした不安を未来に感じ今を生きている人間がこの映画にはたくさんでてくる。
特に青木は不安を感じていた。
そうしてどこに行けば良いのかわからないまま、走り出し、最期は死を選ぶことになる。
人の意見にケチをつけるのは決して良いことではないのは分かってはいるのだが、あまりにも的外れな評価を下している人間にはちょっと文句を言いたくもなる。
好き嫌いが分かれる映画ではあると思うが、この映画は決してヤンキー映画ではないということ、そして生きづらさを感じている人にこそ観て欲しい映画であるということを言っておきたい。
それとミッシェルガンエレファントの曲もサイコーです。
最後に流れる曲「ドロップ」が特に良い。
なめつくした ドロップの気持ち
良い映画には必ず良い音楽の存在がある。
長々と駄文、乱文失礼いたしました